つばくらめ

    

家の周りでは、ツバメやヒバリの声が聴こえる季節になりました。

 

昨年、店主の作業場の入り口の電球に、ツバメが巣を。

ツバメの巣を間近で見たのは初めてで、泥と草でこんなにも見事な造形を作り上げることに驚くと同時に、自然からあまりにもかけ離れてしまった人間のものづくりを情けなく思いました。

都合よく自分以外のものをねじ曲げるのではなく、ある物で必要なものを作り出すブリコラージュなものづくりの先生は、こんなにも身近に確かに居るのです。

夏、巣には5羽の雛が育っていました。

その何とも愛おしいぎゅうぎゅう詰めで巣に入る様子をカメラにおさめて、私たちは一泊のキャンプに出かけました。

翌日帰ると、巣はもぬけの殻。キャンプに出かけたその間に、つばくらめたちは巣立ったのです。

その後も何日かの間は、家の近くの電線にとまってこちらを見たり仲間とお話しする姿を見ることができましたが、いつの間にか見かけることは無くなってしまいました。

 

 

 

今年も渡ってきたツバメたちが家の周りをぐるぐる飛び回っています。

ツバメの生きられる期間や生存率を知り、この地に渡り営巣して子を育てることが、どんなに厳しく尊いものか。心を寄せて考えると尚更愛おしく感じます。

 

今は作業場の中の昨年とは違う場所に巣作りを始めています。その姿と声に、息子のお弁当作りで早朝台所に立つ私の心は弾みます。

そして、我が家のつばくらめは高校生になりました。

中学校の3年間は、体も心もとても大きな成長をしました。この3年間で、息子との距離が確実に変わったと感じています。

 

今までは私の考えで、子育てから遠ざけてきたデジタルたちが、急速に生活の中に入り込んできました。

パソコンに向かって仲間と連絡を取り合う背中を見ると、確かに私たちとは違う世代を生きているんだなぁと適応能力の高さを逞しく思うとともに、こういう環境を作り出した大人も、その中で生きなければいけない子どもも、大切なことを見失わないようにしっかりと見極めていかないといけないと自戒する毎日です。

 

 

「人は 相手の無意識に反応する-。」

子どもも、親の言葉ではなく心を聴いていると常々感じています。親の言葉がなかなか素直に入らない思春期、ブレずにもう少し伴奏していきたいと願う春です。